雑感5・死神

時々、恐怖の根源みたいな夢を見る。

 

殺人鬼に追われる夢だとか、知ってる男に羽交い締めにされてレイプされる夢だとか、言葉にすると陳腐というかありがちだが、実際に見る身としてはたまったもんじゃない。ちなみに今日は、量産型エヴァとラフムの間みたいなやつにバラバラにされて殺される夢だった。殺されて、客観的にそれを見て起きた。

 

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昔から怖い夢はしょっちゅう見るので、多分普通より比較的よく見るほうだ。もしくは、見た夢を覚えているほうだと思う(おそらく)。

 

これは、わりかしたまったもんじゃない。なんせ避けられない。どれだけ眠くても、恐怖が勝って寝直すこともできないし、寝不足で頭が痛い。

 

これを避けるために、幼き日の僕は頑張った。夢の中で夢だと気付いた瞬間、がむしゃらに全力で叫ぶことで、目覚める術を身に着けた。自覚はなかったが、いわゆる明晰夢の一種だと思う。

 

…が、すぐに効かなくなった。地球外生命体がすぐそこまで迫っているのに、どれだけ身を包めて叫んでも、夢から覚められなかった。すぐ背中に未知なる生き物の気配を感じ、自分を連れ去ろうとする恐怖。この夢は、覚えている限り3回は見た。

 

今までで1番怖かったのは、金縛りにあったときだ。

場所は何の変哲もない自分の部屋。僕は僕でありながら、部屋の斜め上あたりから、布団で寝ている自分を見ている。そしてそこに、“誰か”がいる。それが誰なのかは未だに分からない。死神かもしれないし、幽霊かもしれない。

何が怖かったかというと、意識が異常にハッキリしていたのだ。完全に現実だと思っていた。僕は逃げなければならないと思った。しかしどれだけ念じても、体を動かすことができない。それは確実に自分の体なのに、感覚だけが別の何かのコントロール化に置かれている。死神のような何かは、ただただ僕のほうを見ている(ような気がするが、顔は見えなかったので分からない)。

ようやく体が動くようになったとき、僕は年甲斐もなく母親の元に急いで駆けつけていた。その夢は完全に、現実と地続きにあった。母親は呑気にテレビを見ていて、説明する気にもなれなかった。

 

そのあたりから、明晰夢について学びコントロールしてやると燃えるのだが、いかんせん僕は夢の中で自由に振る舞うのが超ド下手くそだった。例えば、夢の中で夢だと気付くコツの一つに、以前見た夢の内容を覚えておくことで、同じ状況になったときにこれは夢の中だと気付くことができる、というのがあるのだが、僕の場合夢の中だと気付いてもその状況から抜け出すことができず、似たような恐怖を反復するだけだった。

余談だが、大学の頃の友人に明晰夢のプロ(?)がいて、魔法は使うわ空は飛ぶわ女の子が出てきたら襲うわで、自分はそいつに比べてなんて不自由なんだと打ちひしがれたことがある。そんな夢見たことねぇよ!

 

しばらく夢日記とかもつけて頑張っていたが、結論から言うとコントロールするのは諦めた。ただやられっぱなしで癪なので、徹底的に分析してやろうと思った。フロイト先生の出番である。

夢というのは、結局は記憶の整理だ。現実で恥ずかしい目にあったときに、裸で公衆の面前をたむろする夢を見たり、何か大事な落とし物をしたときに、ひたすら財布を探す夢を見たりする。

こういう按配で、夢から覚めた直後に前日の出来事を振り返るクセをつけた。これが意外にも上手くいった。夢というのはなんて論理的なんだ!とまで思った(?)。

 

…で、今日もバラバラにされてしまったので原因を考えて、そういえば昨日マジで死にたいなぁと考えてたことを思い出した。別に同情されたいわけでもなんでもなく、僕はよくそういうことを考える人間だ。芥川でいう「唯ぼんやりした不安」というやつで、誰にだってそういう一面はあると思うが。

…と考えると、この恐怖体験は、死への欲求(フロイト風に言うとタナトス)に対する防衛機能だったということがよく分かる。なんでもかんでもリビドーに当てはめるフロイト先生は今となっては時代錯誤だが、そういう希死念慮みたいな概念は確実にあると僕も思う。

 

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駄文おしまい。眠いけど、文章にしてたら気が紛れて非常に良かったです。